B級ホラー映画には、低予算ながらも独自のアイデアやユニークな設定で楽しめるゾンビ映画が多数あります。以下に、人気のあるB級ゾンビ映画を10作品ご紹介します。
『バタリアン リターンズ 』(1993年)
恋人をゾンビとして蘇らせてしまう若者の苦悩を描くホラーラブストーリー要素のあるB級ゾンビ映画です。
カートは、軍の研究施設で極秘に行われているゾンビ化の実験を目撃します。軍が開発した化学物質「トライオキシン」によって死者が蘇り、凶暴化することを知ります。その後、カートの恋人ジュリーが事故で亡くなってしまい、絶望に駆られたカートは施設に戻り、ジュリーを「トライオキシン」で蘇らせます。しかし、蘇ったジュリーは次第に人間の理性を失い、ゾンビとしての欲求に支配され始めます。
ジュリーがゾンビ化の苦しみに耐えつつ、カートとの愛を取り戻そうとする姿が描かれる中、軍や警察も二人を追い詰め、状況はさらに悪化していきます。愛する人を蘇らせたが故に巻き起こる悲劇的な結末が待ち受けている、異色のゾンビラブストーリーです。
『ゾンビコップ』(1988年)
警官がゾンビとして復活し、犯罪組織に立ち向かうアクションコメディホラー映画です。ユニークな設定とブラックユーモアが盛り込まれたB級ホラーのカルト作品です。
物語は、ロサンゼルス市警の刑事ロジャー・モートンとその相棒ダグ・ビゲローが、銀行強盗事件の捜査中に、強盗犯が通常の手段では死なないことに気づくところから始まります。犯人たちがゾンビであることを突き止めた彼らは、その背後にある謎を追い始めます。
捜査を進めるうちに、ロジャーはある製薬会社が不死身のゾンビを生み出す装置を開発し、犯罪に利用していることを発見。しかし、ロジャー自身もその装置によって命を落としてしまいます。相棒のダグはロジャーを蘇らせ、二人でゾンビとしての時間が限られる中、製薬会社に潜む陰謀を暴き、復讐を果たそうとします。
限られた時間の中でゾンビの力を活かしながら、ロジャーとダグは犯罪組織に立ち向かい、死者と生者の境界を超えた戦いを繰り広げます。アクションとホラー、そしてコメディが入り混じったユニークな作品で、シュールな設定が楽しめる映画です。
『サンゲリア2』(1988年)
ゾンビウイルスが拡散し、島全体にゾンビの恐怖が広がるイタリアのホラー映画です。ルチオ・フルチ監督が途中まで指揮を執り、その後、ブルーノ・マッテイが完成させた作品です。
物語は、軍の研究施設で開発された生物兵器「デスワン」が盗まれ、事故によって拡散してしまうところから始まります。この強力なウイルスは、感染した人間を凶暴なゾンビへと変貌させる恐ろしい力を持っていました。感染拡大を防ぐため、軍は感染者を隔離し、ウイルスが漏れたエリアを焼き払いますが、ウイルスは空気中に拡散し、近くの小さな島にまで広がってしまいます。
その島に観光に訪れていた若者グループと、軍の一部隊がゾンビの襲撃に巻き込まれ、生き延びるために必死で戦います。島全体に次々とゾンビが発生し、彼らは逃げ場を失って追い詰められていきます。次第に恐怖が増す中で、感染拡大の謎とウイルスを封じ込めるための方法を探りながら、ゾンビの大群に立ち向かうことになります。
『ZOMBI 3』は、グロテスクなゴア描写と絶望感が特徴で、B級ホラーらしいスリリングな展開が楽しめるカルト的な人気を持つ作品です。
『ゲシュタポ卍(ナチ)死霊軍団/カリブゾンビ 』(1977年)
第二次世界大戦中に開発されたナチスのゾンビ兵士が現代に蘇り、人々を襲うホラー映画です。
物語は、観光クルーズ中に難破してしまった一行が、孤島に流れ着くところから始まります。その島には古びたホテルがあり、やがて彼らはホテルに住む謎の老人と出会います。老人は第二次世界大戦中の元ナチス将校であり、この島にはかつて「死の軍団(Death Corps)」と呼ばれる特殊部隊がいたことを告白します。この部隊は、戦場で兵士として使われるために開発されたアンデッドのゾンビ兵士たちで、耐久力と殺戮能力を極限まで高めた恐ろしい実験の産物でした。
やがて、海底に眠っていたゾンビ兵士たちが突如として目覚め、島にいる人々を次々と襲撃し始めます。脱出手段もなく、追い詰められた一行は、無情に迫りくるゾンビ兵士たちから逃れようと奮闘しますが、次第にその数と強さに圧倒されていきます。
独特の不気味さと、無言で執拗に人間を追い詰めるゾンビ兵士たちの姿が恐怖を煽る、B級ホラーの名作です。
『ビッグフット vs ゾンビ』(2016年)
ビッグフットとゾンビが戦うという奇抜な設定が話題。CGや演出はチープですが、B級ホラーの醍醐味を感じられます。
物語の舞台は、遠く離れた山中の遺体安置所。ここである科学者が、死体を保存するための新しい化学物質を開発し、実験を行っていました。しかし、その化学物質が予想外の影響をもたらし、安置されていた死体が次々とゾンビとして蘇ってしまいます。遺体安置所はゾンビだらけになり、周辺地域にもゾンビがあふれ出すという危険な状況に陥ります。
そんな中、山に住む伝説の生物ビッグフットが、縄張りを荒らすゾンビたちに怒り、戦いを挑みます。ビッグフットとゾンビの壮絶なバトルが繰り広げられ、遺体安置所の人々はその戦いに巻き込まれていきます。ビッグフットはゾンビの群れを食い止め、人々を救うことができるのか?
低予算ながらもビッグフットとゾンビの対決というB級ホラーならではの荒唐無稽な設定とユーモアが楽しめる、シュールなカルト作品です。
『ゾンビ・クィーン/魔界のえじき』(1982年)
フランスのジャン・ローラン監督によるゾンビホラーで、死から蘇った女性と彼女を取り巻く悲劇的な愛と狂気を描いた作品です。
フランスの片田舎にある古い墓所で、地震によって毒ガスが漏れ、死体が保管されていた棺が開きます。その棺の中に眠っていた美しい若い女性カトリーヌは、毒ガスの影響でゾンビとして蘇ります。かつて彼女と親友だったエレナは、彼女が蘇生したことを知り、彼女を守りたい一心でカトリーヌを隠そうとしますが、カトリーヌは生きるために人間の血を欲するようになっていました。
エレナは友情と狂気の間で苦悩し、次第にカトリーヌの犠牲となる人々が増えていきます。美しさと恐怖が交錯する異色のホラー作品で、死者の愛と執着が悲劇的に描かれます。
『ゾンビ・ストリッパーズ』(2008年)
ストリップクラブでゾンビが発生するという奇抜な設定。エロティックな要素とユーモアが組み合わさり、B級ゾンビホラーのユニークさが光ります。
近未来、アメリカ政府は戦争で戦力を補うために、死者を蘇らせて兵士として再利用するための極秘実験を行います。しかし、その実験で開発されたウイルスが漏れ出し、感染した人間がゾンビ化するという事態が発生します。そのウイルスは、あるストリップクラブにまで拡散し、クラブの人気ストリッパーであるカティが感染してしまいます。
ゾンビ化したカティは不死身の身体と異常な力を手に入れ、さらにダンスもパワーアップし、クラブの新たな目玉となって人気を集めます。他のストリッパーたちもその人気に憧れ、次々と自らゾンビ化していき、クラブは一躍繁盛します。しかし、次第にゾンビ化したストリッパーたちは制御不能となり、クラブの客や従業員に襲いかかり、恐ろしい事態へと発展していきます。
『ゾンビシャーク 感染鮫』(2015年)
ゾンビ化したサメが人々を襲うという驚きの設定が見どころ。ストーリーは荒唐無稽ですが、B級ホラーらしい奇抜な発想を楽しめます。
若者たちはバカンスを楽しむため、リゾート島に遊びに行きます。しかし、その島では秘密裏に生物兵器の実験が行われており、実験によってサメがゾンビ化してしまいます。ゾンビサメは凶暴化し、噛まれた人間もまたゾンビ化するという感染能力を持つようになっていました。
若者たちは島でゾンビサメに遭遇し、次々と仲間が犠牲になります。さらに、ゾンビサメによる感染が広がり、陸上でもゾンビが発生するという絶望的な状況に追い込まれます。生き残ったメンバーはなんとかしてゾンビサメと感染拡大を食い止めようと奮闘しますが、次々と危険が襲いかかります。
ゾンビとサメというB級ホラーらしい異色の組み合わせと、低予算ながらも奇抜な展開が特徴の作品で、ホラーファンにとってはユニークな楽しみ方ができる映画です。
『デモンズ’95』(1994年)
イタリアのミケーレ・ソアヴィ監督によるダークコメディホラーで、愛と死が絡み合うシュールなストーリーが展開される作品です。
物語の舞台は、イタリアの小さな町の墓地。この墓地で墓守を務めるフランチェスコ・デラモルテは、普通の墓守の仕事とは違い、蘇ってくる死者たちを再び葬り、墓地を守るという異常な日常を送っています。彼の唯一の友人である知能が低い助手グナッギとともに、フランチェスコは毎晩のように甦るゾンビを撃退していますが、やがて彼は自身の孤独と虚無感に苛まれていきます。
そんな中、彼はある美しい女性に出会い、強烈な恋に落ちます。しかし、その愛も不幸な出来事によって次第に狂気と絶望に変わり、彼は愛と死の意味について深く苦悩するようになります。次々と奇妙な出来事が起こり、現実と幻想の境が曖昧になっていく中、フランチェスコは愛する者と死を受け入れることに迫られます。
『ゾンゲリア』(1981年)
小さな町で起こる奇妙な殺人事件と蘇生現象を描いたホラー映画で、スリラーやミステリーの要素も併せ持つカルト的なB級ホラー作品です。
物語はアメリカの小さな港町ポッタース・ブラフで始まります。この町で、観光客や訪問者が次々と惨殺される謎の連続殺人事件が発生し、町の保安官ダン・ギリスはその調査に乗り出します。殺人事件の犠牲者たちの死体は恐ろしく損壊されており、その後なぜか遺体が町の様々な場所で再び発見されます。しかし、驚くべきことに、その「死体たち」は以前と変わらぬ姿で町の住人として蘇り、日常生活を送っているのです。
保安官ダンは事件の真相を探るうちに、町の葬儀屋であるドブス老人が関与していることを疑い始めます。やがて、彼は町全体が隠し続けている恐るべき秘密と向き合うことになり、命の危険にさらされていきます。
死と蘇生、そして町全体に隠された不気味な陰謀をテーマにしたこの映画は、ゾンビホラーの中でも異色の存在として、独特の恐怖感を持つ作品です。