ハーシェル・ゴードン・ルイス:
B級ホラー映画の歴史にその名を刻んだ伝説的な監督、ハーシェル・ゴードン・ルイス(Herschell Gordon Lewis)。彼は「ゴアのゴッドファーザー」とも称され、特に1960年代に数々の低予算ホラーを手掛けることで知られています。ゴア描写や過激な暴力表現を映画に取り入れ、ホラーの新しい領域を切り開いた人物です。
代表作『血の祝祭日(Blood Feast)』
ルイスの代表作といえば、1963年の**『血の祝祭日(Blood Feast)』**。わずかな予算で製作されながら、当時としては画期的なゴア描写が話題となり、観客に衝撃を与えました。『血の祝祭日』は、ホラー映画史上初めて本格的なスプラッターシーンを導入したとされ、以降のホラー作品に多大な影響を与えた作品として今も語り継がれています。この映画では、謎めいたエジプト風の儀式に巻き込まれた犠牲者が次々と襲われるというストーリーが展開され、視覚的なショックを重視した演出が特徴です。
B級らしさと独特のスタイル
ハーシェル・ゴードン・ルイスの映画は、低予算ならではのチープな特殊効果や粗削りな映像が逆にB級ホラーとしての魅力を放っています。彼の作品はストーリーよりもビジュアルに重きを置いており、観客にショックを与えることを第一の目的にしています。特に、「観客を驚かせるためにはあらゆる手段を使う」という彼のポリシーが、恐怖だけでなくエンターテインメント性を高めている点が特徴です。
ホラーだけじゃない、マーケティングの達人
実はルイスはホラー映画のみに留まらず、マーケティングの分野でも名を馳せました。映画製作の後には広告業界へ進み、セールスコピーの達人としても名を残しています。彼はマーケティングとエンターテインメントの両方で才能を発揮し、「ゴアとビジネスの伝道者」として二つの異なる分野で成功を収めました。
ハーシェル・ゴードン・ルイスが残したもの
ハーシェル・ゴードン・ルイスは、B級ホラーの中で過激な描写と独自のユーモアを融合させ、ホラー映画に新しいスタイルを確立しました。彼の作品は今もなカルト的人気を誇り、ホラーの歴史を語るうえで欠かせない存在です。低予算の限界を逆手に取った映像表現は、後の多くのホラー監督にインスピレーションを与え、今も多くのホラーファンに愛されています。
ハーシェル・ゴードン・ルイスの主なB級ホラー映画作品
- 血の祝祭日 Blood Feast (1963)
- 2000人の狂人 Two Thousand Maniacs! (1964)
- カラー・ミー・ブラッド・レッド Color Me Blood Red (1965)
- A Taste of Blood (1967)
- 悪魔のかつら屋 The Gruesome Twosome (1967)
- サムシング・ウィアード Something Weird (1967)
- 血の魔術師 The Wizard of Gore (1970)
- ゴア・ゴア・ガールズ The Gore Gore Girls (1972)
- シー・デビルズ・オン・ホイールズ She-Devils on Wheels (1968)
- How to Make a Doll (1968)
次回は、B級ホラーをさらに広めた監督について紹介します。